サイクリングしまなみ2013を開催しました(その2)

こんにちは。スタート編の続きをお伝えします。

午前9時。現場からの無線。
「今治インターチェンジ付近で大渋滞!第3ウェーブがまだ通過中!」

一瞬、どこからの無線かわからず、「えっ!」という半信半疑の声。たちまち本部スタッフの顔色は変わり、全身からすっと血の気が引いていきました。

今治インターチェンジの料金所を通過した所から始まる右カーブと上り坂から、スピードが落ちたサイクリストが続出。
そこを先頭に、数えきれないサイクリストが団子状態となっていて、第4ウェーブ以降のインターチェンジの進入が当初想定から大幅に遅れ、1200人余りが通過できていない…。

本部テント内はたちまち騒然となりました。
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スタート地点から12.5km先の来島海峡大橋上にある第一関門を9時12分までに通過が見込めない場合は、走行を中止し、収容車にてスタート会場に搬送される…。

第一関門までの距離や参加者の平均速度から算出すると、現時点で200人以上が通過できない。

スタッフをはじめ、本四高速、愛媛県警などの専門職員が固唾をのんで見守る中、本部スタッフ責任者は難しい判断を迫られることになりました。

第一関門の最終通過時刻を後に延ばすほど、資材の撤去作業に影響が出て、高速道の通行規制解除の午前10時に到底、間に合わない…。

しかし今…、失格宣言を出せばインターチェンジは大混乱になる。

そんな時、ふと出走前に見た親子サイクリストの笑顔が頭をよぎる...
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本部スタッフの責任者は、深夜にわたる連日の打ち合わせで疲労が重なり、立ちくらみを感じましたが、出した答えは…
「全員、この来島海峡大橋を渡らせてあげたい…」

その瞬間、頭の中が弾け、燃えるような闘志が沸き起こりました。

彼は充血した目でボードの運行管理表をにらむと、
「9時30分まで関門を通せ!その代り、遅い自転車の速度を底上げして、資材の撤去時間を短縮せよ!」と檄を飛ばすような勢いで無線に向かって指示を出しました。

どのスタッフも迷いはありません。「あとには引けん。行くぞ!」

午前9時30分まで第一関門を開けることになれば、午前10時までのわずか30分間で大量の資材撤去と、愛媛県警のパトカーによる高速本線の開通クリア確認を受けなければならない…。

この無謀ともいえる大胆な指示に、流れは一気に激しさを増し、天下分け目の合戦の様相を呈してきました。
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まず、今治インターチェンジの料金所入口付近に数珠つなぎになっている参加者をいったん止め、小人数で順次通過させる。その流れを見ながら、次の集団を通す…。その結果、徐々に渋滞は解消。

次に、GPSを装着した移動監察スタッフが最後尾の参加者に並走し、別の参加者が最後尾になればその方に移動。常に最後尾を本部がパソコンで追跡します。

移動監察スタッフは、滑りやすい雨の路面と上り坂により速度の落ちた参加者の腰を後ろから支えて押し上げ、走行速度を上げていきます。スタッフも自分の自転車に乗りながらの行動のため、相当な運転技術と体力が...。

しかし彼らは、シープドックのように抜群の俊敏さとスピード、忍耐力を兼ね備えたサイクリスト。第一関門へ安全に導きます。

一方、冷たい雨で底冷えする中、高速道路上に立つ約500人のスタッフは、参加者に「がんばってー」「もうすぐ!」と声援を送りながら、資材撤去のリハーサルをもう一度見直し、1秒でも早く完了できるよう頭の中で手順を組み直しました。
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こうした懸命な努力により、午前9時30分、最後尾の参加者が第一関門を無事通過するのを確認。
この瞬間から、全神経を向ける目標はただ一つ。「午前10時までに全ての作業を完了させること」

資材撤去のスタッフは、今治インターチェンジ側から撤去開始。トラックに次々と資材を回収し、18台のバスが大島方向に進みながらスタッフをピックアップすると直ちに高速道から一般道へ待避。雨の高速本線上にずらりと並べられたコーン約1700本、バー約900本を回収するだけであっという間に時間は過ぎます。

午前9時55分。5分前。
いよいよ大島南インターチェンジの手前、最終エリアのスタッフ27人が撤収に着手。GPSを付けた最後尾車両の後ろにはクリア確認の県警パトカーが待機。
料金所の向こうに高速道の再開を待つ一般車両の列が見えます。

この時刻から本部の愛媛県警職員は県警パトカーと携帯電話をつないだままに。

一方、本部スタッフは、パソコン上の最後尾車両の現在地を示す点滅をもう3分以上も食い入るように見つめていますが、料金所手前の場所から全く動こうとしません。
何をしている……早く…動いてくれ…
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午前9時58分。残り2分。
現場から「160mにわたり壁面に取り付けた緩衝マットの撤去作業を今必死でやっている」電話が一方的に切れ、ただ事ではない空気が冷たく耳に伝わる。王手をかけられ次の一手は無い。現場スタッフに全てを賭ける。

午前9時59分。あと1分。
微かな音も聞き逃さまいと長い沈黙が続く。心臓が大きく脈打ち、スタッフは椅子から立てず、頭を掻きむしりながら祈る。

午前9時59分30秒。ラスト30秒。
非情にもデジタル時計はカウントダウンを開始。スタッフの息が止まる。
20秒...10秒、9、8、7、6...あぁ..もうだめだ、皆が思ったその時!

「クリア確認しました!解除!規制解除!」

県警パトカーの叫ぶ声に、「やったー!」「よっしゃー!」と、本部のあちこちからどっと歓声が沸き起こりました。がっちり握手する者、肩を抱き合う者、頭を下げる者。

各スタッフが電話や無線で100本以上を受発信し、声を枯らして現場と連絡を取り合った、あの激しい山場を全員で乗り越えたと思うと、スタッフたちの胸にこみあげてくるものがありました。
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最終エリアのスタッフは作業完了後、無我夢中で走り、料金所から一般道へ次々と脱出したそうです。

高速道の規制解除時刻、午前9時59分56秒。

今治支局総務県民室でした。

by ehimeblog | 2013-11-20 13:00 | 愛媛のイベント

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